4つのボリュームがつくる陰影ある住まい
街中にたつ木造三階建ての住宅。
家族の居場所であるリビングが住まいの中心になっています。南と東側に高いマンションが接しているため、プライバシーを保ちながら採光を確保することが大切なテーマの1つになりました。
家族構成や生活スタイル、将来の生活予想はもちろん、隣のマンションを模型で再現しつつ可能な限り視界を遮り、陽の方角や時間帯を丹念に検証することから、プランや外形、開口部の計画を練りました。
プラン提案時の模型と資料
街中での計画にはさまざまな斜線制限がかかりますが、4つの片流れのボリュームを設定し、それらを組み合わせた構成にすることで、快適で豊かな空間を目指しました。ボリュームの大きさや重なりを調整しながら制限を自在のクリアし、ボリュームのずれたところを活かし、リビングでは天井の高さに変化を生み出しました。
それにより、生活空間に変化と広がりを与え、間接的にさまざまな方向からひ陽を取り込み明るさと開放性を獲得するだけでなく、懐が深い陰影を生み出しました。
容積や面積を削ることなく、上下階が繋がって天井の高さに変化がある立体空間を生んでいます。
(河野有悟)
【白山の家】
主要用途| 専用住宅
家族構成| 夫婦+子供3人
構造・構法・規模| 木造在来構法
地上3階
建築面積 50.60m2
延床面積 100.06m2
撮影|大沢誠一