「外と内」「表と裏」を意識して
居心地の良さと機能性を両立
この住宅が建つ敷地は郊外の幹線道路に挟まれた中洲に位置し、利便性がよく周囲には建物が少なく、とてもスッキリした印象の風景が広がっています。
敷地形状は南側道路接道による広大な敷地を一部分筆。残地と周辺環境との繋がりが、建物を孤立させない為の重要なポイントと考えました。道路からの視線も十分配慮しなければなりません。周囲の風景もどちらかというと荒っぽい感じで(笑)、積極的に空間に取り入れるほどの印象はなく、むしろ道路からの視線が気になるので、内部空間を適度に外部から遠ざけながらどの方向に視線抜けを設けていくのかが課題でした。
この住宅の特徴は何といっても明確な「回遊空間」と「ゾーニング」。とても使いやすいです。訪問者→お客様→友人・親戚→家族と徐々に奥へと空間を解放していきます。 また、回遊動線の周囲に外部空間・アプローチをちりばめているので、内外の出入りなどは、どの位置からもスムーズに行えます。
天井には力強い構造梁、連続する垂れ壁によって空間の繋がりを強調しています。途中に存在する中庭は外部からの視線をカット。ゆったりとした時間の流れを感じることができます。
多くの素材を使うことで、飽きのこない濃密で表情豊かな空間に仕上げていきました。季節・時間の移ろいに敏感に反応する空間は家族の感性を育み、豊かな暮らしを実現してくれることと切に願います。
濃密な内部空間を包み込む外観はシンプルに。「強調」された屋根とコンクリートスラブ。周辺環境とのバランスに配慮しつつ、さりげなく重厚感で存在感を主張しています。
玄関のドアに立った時の邸宅感。ドアを開ける瞬間の高揚感。ここから家族の物語が始まります。
(千原康弘)
【佐山の家】
主要用途| 専用住宅
家族構成| 夫婦+子供2人
構造・構法・規模| 木造
地上2階
建築面積 94.93m2
延床面積 131.04m2
撮影|野村和慎
設計建築家|
千原康弘/C&C DESIGN ARCHITECT