住まいと事務所の併用住宅
計画地は山梨県内の閑静な住宅地にあります。約108坪の敷地は東道路に面しており、間口に対して奥行のある土地です。元々、手前の敷地にクライアントの事務所と住まいがあり、10年程前に一度、建てかえの計画のお話がありました。そのときは一旦計画を見合わせることとなったのですが、奥の旗竿敷地を購入できたことで、10年ぶりに連絡を頂き、計画のお話が再スタートしました。敷地が奥に広がったことで、既存建物を残しながら、新築工事が進められるようになり、事務所と住まいの引越しが完了してから、既存建物を解体し、手前に十分な駐車スペースも確保することが可能となりました。
中庭テラスより事務所を見る.南に面してトップサイドライトを設けている
建物は大きなコの字型の構成とし、延べ床約49坪の平家の分棟型コートハウスとなっています。事務所と住戸の入口は明確に分ける必要があったため、事務所エントランスは南側に路地のようにアプローチを長くとり、住戸の入口は北側の手前にスロープでアクセスしやすいように配しました。住戸の各居室と事務所スペースは、個々に中庭テラスに面しており、自然の光と風に触れながら生活や仕事ができるように計画しています。各部屋はそれほど広い面積を有してはいませんが、各スペースを繋ぐウチソトの視覚的な広がりが豊かな空間を育んで、実際の床面積以上の開放感を体感することが可能です。
事務所エントランスから中庭アプローチを見る
スロープから住戸玄関を見る
住戸の玄関
廊下より畳室を見る.左手が寝室.右手が事務所と区切られた中庭テラス
住戸のLDK.奥に南側テラスが見える
住戸の東側テラス
「連」とは、つらなる、結ばれつながるという意味をもちます。土地の縁のつながりから始まり、事務所と住戸と庭の関係を、程よい距離で繋げていくことに重きをおいたこの家を、私たちは「連(れん)の家」と名付けることとしました。家づくりを一緒に進めることのできたご家族の皆様、スタジオの皆様に感謝するとともに、ご家族の日常の情景が緩やかな季節の変化とともに綴られていくことを願っています。(柏木学+柏木穂波)
【連の家】
主要用途| 事務所併用住宅
構造・構法・規模| 木造軸組構法
地上1階
建築面積 169.66m2
延床面積 161.56m2
撮影|上田宏
事務所のアプローチ夕景
設計建築家|
柏木学・柏木穂波
有限会社カシワギ・スイ・アソシエイツ一級建築士事務所